卒論の参考文献リストってどう書くのが正解?
1.各章ごとあるいは全体でリスト化
1章、2章、、、、の章ごとに参考文献をリスト化する、あるいは、卒論全体で論文の最後に一括したリストを載せるのが普通です。指導教官の先生によって、どの様にリスト化するか個人の好み、見やすさもあるので、先輩や先生の書き方を参考にすると良いです。
基本的な書き方は、「著者名、”論文のタイトル”、論文記載されている雑誌名、巻号(例 第m巻第n号)、連載ページ」の様に記載します。人によって、あるいはその論文の記載方法によって、タイトルは鍵括弧「」を使うものもあります。連載ページはpp.120-125の様に記載する場合やp120-125という様に書くケースもありますので、投稿する論文の記載方法を参考にするのが良いです。最初のページだけを記載する方もおられますが、複数のページに渡る論文は論文の始まりページから、終りのページまで記載しておくのが親切です。
大学生向けの卒論では、先輩の博士論文や修士論文、あるいは指導教官の先生の論文を記載することも可能です。この場合は「著者名、“論文のタイトル”、大学名研究室名専攻名、論文提出年」の順に記載します。先輩、親しい方、指導教官の先生であっても、著者の苗字と名前のみ記載します。氏、様、教授といった肩書等は記載しません。
著者が複数名で書かれている論文は、その論文に記載されている名前の順番を変えない様に記載しましょう。その理由は、先頭の著者は論文をメインに執筆された方です。複数名の論文著者名を列挙すると長くなる場合には、先頭著者他、先頭著者英語名 et al.という様に先頭筆者のみを記載する方法もあります。参考文献リストの中で、先頭筆者のみ、筆者全名記載するかは、混在で使用するのではなく、どちらかに統一して使いましょう。卒業論文であれば、論文のページ制限はないでしょうから、全員の著者名を記載しておく方が親切でしょう。
2.正しい文献を見定めて参考文献に列挙、正しい文献とは?
参考文献を利用する理由は、先行研究者の成果を十分理解した上で、自分の研究論文を作成するために利用したことを読み手に理解してもらうこと、自分の他にも、研究に関連する論文が存在することを読み手に伝えることでの情報発信でもあります。その為に、正しい論文かを見極めることが必要です。学会誌や口頭で発表したものを選ぶのが良いです。口頭発表したものを列挙する際は、口頭発表番号も合わせて参考文献リストに記載する様にします。
ネット記事等を参考文献に載せる際は、その情報が正しい情報なのか否かに注意する必要があります。企業のプレスリリースや日経関係や信頼のおける記事は良いですが、中には個人が書いて、ネット上にアップしているものもあるので、そういった場合は根拠が正しいか否かを調べることも身に着けておきましょう。
大学の研究室などによっては、pdf版で論文を無料で閲覧できる様にされている研究室の先生方もおられます。そのpdfに、投稿論文名、巻号、年度等の情報が記載されている論文もありますが、中には正確に記載されていないものの存在します。そういった場合には、投稿論文名、巻号、年度等の情報を論文で、自分で調べて、記載する様にします。
卒業論文で、自分が所属する先輩や指導教官の先生だけの論文のみだけの参考文献リストはお勧めできません。指導教官や他の先生方に他機関、他大学の調査を行なっていないとみなされても仕方ないです。どうしても、見つけ方が分からないのであれば、修士課程、あるいは博士課程の先輩に相談するなり、自分で調べた方法・範囲などを相談するなり、アクションを起こして、相談しましょう。勧めて頂いた論文を参考文献に記載するならば、その論文の中身をきちんと理解して、記載しましょう。
研究範囲は多岐に及んでいる為に、こういった方面の研究は他機関で実施されている、自分たちの研究室の立ち位置はこの分野、この領域であるという様な内容を序論に記載することでしょう。こういった序論の内容、参考文献をきちんと卒業論文に記載できるという事は他の大学や他の研究機関と肩を並べる様な研究を行なっていますという証拠にもなります。
インターネットで省庁の情報や信頼できる研究機関、会社等のネット情報を参考文献にしたい場合は、研究機関名等の情報と共にURLを付けておくことも可能です。
難しいかもしれませんが、インターネットで複数の記事を集めて収集していると、この記事の一部分は正しいけれど、全体的に考えて見ると、この記事は怪しいと思えるものに出くわします。その為、卒業研究では、学会誌、学会雑誌、口頭の学会発表の論文内に宣言しておいた方が無難かも知れません。
3.論文の孫引きはNG、論文の共有化
ある論文を読んだ時に、その論文の中に良い参考文献の記載があるからと言って、元の論文を読まずに、読んだ論文内容をコピペして、自分の論文に記載することは不正にあたりますので、注意して下さい。
あくまでも参考文献になりうるものは自分の目で確かめて、正しいと判断できる情報の論文、雑誌などにしておきましょう。
4.卒業論文の参考文献で注意してほしいこと、参考文献の意義
卒業論文は1年の間で、研究して、論文に仕上げるものです。大学の研究室はそういった先輩の研究や卒業論文、発表論文、投稿論文の積み重ねで、地道な実績を残していきます。自分が卒業後、自分の卒業論文を研究室の方々が参考にしたり、読み直したりするという事を念頭に置いて、仕上げていきましょう。
研究者をやっていると、他の方とディスカッションをしていて、何処の研究機関のどの論文が、自分のいま取り組んでいる研究課題に大いに役に立つなどと教え合うこともあります。実際に研究者をやっているとそういった場面に直面することもあります。
参考文献リストは情報の共有化であることも事実です。後世の人たちに役に立つ様な参考文献リストを作成しておくと、それだけ、後輩の方々の情報収集の効率化にもつながります。
「参考文献の役割りと書き方」等のキーワードで検索していくと、科学技術プラットフォームやSIST(科学技術情報流通基準)といった内容をヒットすることができるでしょう。社会人として、研究者を目指す、企業で研究開発に進みたいという様な人にはこれから先に向けて役に立つ内容と感じます。