日本国憲法で卒論を書く場合の書き方とは。

卒論の時期を迎えて、「何を書こうか」、「テーマは何にしたらいいのか」と悩んでいる方も多いと思います。

もしかしたら、それ以前に「卒論って何?」、「どうやって書くの?」という段階の人もいるかもしれません。

今回は、卒論の考え方やテーマの選び方を簡単に説明し、そのうえで表題の日本国憲法で卒論を書く場合の書き方についてお話しします。



まず、卒論の考え方とテーマの選び方ですが、卒論は、あくまでも卒業のための論文と考えればよく、特別なものと捉える必要はありません。

つまり、小説でもなくエッセイでもない、論理的に書き記した文章ということです。

論文の定義については、いろいろ書かれていますが、簡単に言えば、あるテーマについて仮設を立てて検証し、その研究成果を論理的に報告するものと考えればわかりやすいでしょう。

卒論は、そのテーマを自分で選ぶことができる論文と思えばよいのです。



そのうえで日本国憲法をテーマにした場合の書き方ですが、これはテーマをさらに絞る必要があります。

論文である以上、その構成は一般的には、概要(要約)、序論(問題提起、仮説)、本論(仮説の検証)、結論(成果)で作成しますが、テーマが大きすぎる、あるいは多すぎると論文としての体をなさなくなってしまうからです。

フォルムが決まった鋳型に鉄を流す際に、その鉄が大きすぎたり、容量が多すぎたりするのをイメージしてもらうとよいと思います。



では、そのテーマをどうやって絞ればよいのでしょうか?

これについては、ご自分の一番興味のあることをテーマにするとよいでしょう。

その際には、たとえば、次の観点及び手順で考えると興味のあることが明確になると思います。

1. なぜ、日本国憲法をテーマにしようと考えたのか?

 法学部だから? 歴史が好きだから? 憲法が問題になる事案があったから?

2. 日本国憲法の何に興味があったのか? 

成立過程、歴史? 前文、基本原則? 個々の条文?

3. 個々の条文の場合、どの条文に興味があったのか?

 第9条(戦力不保持、交戦権)? 第13条(個人の尊厳、新しい人権)? 

 第25条(生存権、生活保護)? 第96条(憲法改正)?

4. 興味を持ったことに対して、自分はどう考えたか? どうしたいのか?

 たとえば、第13条の新しい人権の一つに、肖像権、プライバシー権があるが、これについてはさまざまな事件が起きてお り、一部は社会問題となっている。この問題に対して自分はこう考えるし、こういう方法で解決するように取り組んでいきたい。



以上のことを、自分自身を振り返りながら書き出してみると何かしらテーマが浮かび上がってくると思います。

そしてこの順番に書き出したメモを眺めてみると、あることに気づきませんか?

そうです。

これはそのまま、論文のフォルムになっているのです。

興味を持った事案に対してその理由を考えることは、問題提起や仮説を立てることにつながりますし、どのように考え、解決していきたいと考えることは、仮説の検証、結論につながっています。

テーマを絞ることは、鋳型のフォルムを明確にし、そこに流し込む鉄の容量を適量にすることにつながるのです。

あとは、論文を構成するそれぞれの部分、たとえば本論で仮説を検証するための情報を増やし、根拠を明らかにするなどして、データの正確性などを含めて論文の精度を上げていけば完成させられるでしょう。



もうひとつ、日本国憲法で卒論を書く場合に注意することとしては、対立する学説を紹介し、どちらかの立場に立つということはもちろん大丈夫なのですが、個々の条文の解釈問題には立ち入らない方が良いと思います。

法学部の多くは卒論がないことの理由にもされているようですが、憲法、法律の解釈は、法律家や法学者の範疇あるいは領域といわれており、学生が論文に研究成果として書けるようなものではないと考えられているからです。

一般的な学生の場合は、専門課程で学べる期間は2年程度で、「憲法とは何か?」、「憲法の解釈とは?」、「個々の事案に憲法をどう適用させるか?」といったレベルでしか勉強できませんので、研究成果として精度の高いものを作り上げるのは難しいと思います。

日本国憲法をテーマにするなら、先ほどお話ししたように、興味を持った事案の問題点や課題を浮き彫りにさせ、どのように取り組むのか、解決させたいのかといった内容にするのが適していると思います。

そういった意味では、テーマは、逆に、かなり広げられると思います。

日本国憲法に関連することなら何でもテーマにできるわけですから、たとえば、日本国憲法と十七条憲法とか、日本国憲法と三島由紀夫など、歴史や文学と絡めたテーマにするのもありだと思います。



皆さんの学生生活の集大成としての卒論は、自分自身を振り返るよい機会でもあります。

論文を書くということは、自分の研究、考えを発表することですから、問題を探り、自分の考えをまとめる際には、自分がどう感じているのか、どう考えているのかを明確にしなければなりません。

それは、とりもなおさず、自分自身を振り返ることであり、これから先、どのように行動していくのかを考えることにつながります。

社会人として新たな人生を踏み出す際に、少なからず、物事に対して考えるという自覚が芽生え、その後の人生に影響していくものだと思います。

卒論を書くことで成長の機会が増えると思って、楽しみながら取り組んでみてはいかがでしょうか。

今回のお話が皆さんにとってお役に立てば幸いです。