卒論でLCCについて論じたいとき、どうしたらいい?
LCCとはいわば、ローコストキャリア、格安航空会社を総称して呼ばれるものです。対して、日本航空や全日本空輸はフルサービスキャリア、レガシーキャリアと呼ばれています。これを通信キャリアにいいかえるとドコモ、au、ソフトバンクがレガシーキャリア、逆にそのほかの通信キャリアがローコストキャリアといえるでしょう。その歴史を考えた場合、通信キャリアよりも航空業界の方が先んじてこのような業態が生まれたといえるのかもしれません。卒論でLCCについて書くのであれば、わかりやすい構図として、まずはレガシーキャリアのほかになぜ、ローコストキャリアが生まれたのか、を考えることも一案です。
次にレガシーキャリアとローコストキャリアの違い。その違いもサービス、ビジネスモデルに至るまで。さらに今後、日本の航空業界においてローコストキャリアがどのような位置付けであり、どうあるべきかを自分なりの考察を持ちながら論じることにすれば、良いのではないかと考えます。また、このテーマを掲げる以上は自ら航空会社のサービスを予約から利用に至るまで体感することが何よりも重要でしょう。
●なぜ、ローコストキャリアが生まれたのか
そもそもローコストキャリアは海外で生まれました。規制緩和がアメリカでは1970年代に進み、少しで目安い航空サービスを提供すべく、アメリカのサウスウエスト航空が取り組みを始めてから世界でサービスがでてくるようになりました。もちろん、ここも論文でろんじる部分です。ここに至るまで、カルテルの問題や航空機の払い下げの問題、さらには高過ぎる航空運賃の消費者の値下げへの要求といったポイントもあります。
これが、なぜ日本の市場にも横展開されたのか、なぜ成功を収めているのかまでを考察することが重要です。
さて、日本では2012年にピーチアビエーションが就航しました。エアアジアジャパン、ジェットスタージャパンが誕生し、合計3社で現在も市場を形成しています。
そして、この誕生における航空行政のあり方がアメリカとどのような違いがあるねかなども深く調べてみると面白いとおもいます。
●レガシーキャリアとローコストキャリアの違い
まず、レガシーキャリアとローコストキャリアの違いはなんといってもコストです。
予約における変更や手数料が高く、航空券によっては変更が出来なかったり、払い戻しに対応していない場合もあります。また、ローコストを実現するために機内サービスについても食事や飲み物、アメニティ、エンターテイメントに至るまで提供していない、または有料の場合があります。利用している機体も大型は少なく、設備も簡素なものが多くなっています。もちろん、座席間隔も狭くなっています。
論文を書くのであれば、こうした、ローコストオペレーションが満足度とどう関連づけられているのか、サービスにかけるコストがレガシーキャリアと比較してどれだけ低いものなのかを具体的に調査してみても良いのかもしれません。また、こうしたローコストオペレーションが海外と比較した場合にどれだけレベルが高いのか、低いのか調査してみると面白い結果が導き出されてくるかもしれません。
しかしながら、世界のローコストキャリアと同じなのは、法律で定められた最低限の整備、機体を絞るといったことでしょうか。
また、人件費にもかなり、ローコストオペレーションが生かされています。通常、飲食店では提供価格の3割が原価とされていますが、航空業界に置き換えてみてもかなり面白い数値がでてくるかもしれません。
●今後のローコストキャリアの位置づけ、役割について
今や、国内線におけるローコストキャリアの位置は非常に大きなものになっています。路線も少しずつ、拡大しており、ジェットスタージャパンとピーチアビエーションが黒字に転じています。要するに日本でもローコストキャリアが認められているわけです。
また、このようにローコストキャリアが認められたことにより、空港側も受け入れ態勢を強化しています。空港によってはローコストキャリアのため、ターミナルを結ぶバスの準備を行うほどです。
さて、ここからが今後の航空業界をしっかり調べて論文に示していくところになります。
まず、海外のローコストキャリアの参入です。利便性の観点では競争があった方が良いわけですが、考え方によっては過当競争により、マイナスに触れてしまう可能性もあるわけです。
また、レガシーキャリアも様々なサービスを展開する中でハイエンドのサービスからローエンドのサービスもセットで提供するようになるはずです。こうなると国内で発展してきたローコストキャリアはさらなる経営努力を迫られることになります。日本の航空行政を考えた上でどのようにしていくべきか、自分なりの論理を持って論文の中でポイントを上げていくのが良いのではないかと思います。
ここからは航空行政と言う観点でいくつかポイントを上げていきます。まず、ローコストキャリアに求められるのは二律背反と言えると思います。それはローコストサービスと安全です。いかに安全を保ちつつローコスト実現するか、論文の中でもこの相反する論理を実現するための方策を提案するのも面白いと思います。
さらに、旅行代理店との関係もテーマに取り上げても良いと思います。旅行代理店としてはサービスパッケージを構築していく上でローコストキャリアの運賃は非常に魅力的です。サービスで満足度が得られない部分は違ったテーマで補強する考え方ができるからです。しかしながらあまりにも競争が激しくなるとサービスの提供が立ち行かなくなると言う矛盾も生じてきます。
最後に
最後に、LCCのビジネスモデルが今後どう変わっていくべきか、どうあるべきかを、卒論という文章の中で自分なりの視点で描いていくことが非常に重要です。現在の姿でローコストキャリアが運営し続けることが非常に難しい事は明らかです。自らが経営者として、国策を論じる者としてどのような航空行政でローコストキャリアを根付かせ、消費者に最適なサービスを提供していくか、自分なりのシミュレーションを行って卒論に記載していくことが結論につながるのではないかと思います。